故障シミュレーター

故障シミュレーターの初期化

論理的には故障シミュレーションは与えられた回路とテストパタンに対して 検出される故障を求めるものなので内部に状態を持つクラスにする必要はない が, 効率的な処理を行うために回路の構造と対象の故障の情報を内部に保持して おいたほうが都合がよい. そのためのクラスが Fsim である. Fsim は以下の形式で初期化する.

// Fsim のコンストラクタ
Fsim(
  const TpgNetwork& network,
  const TpgFaultList& fault_list,
  const JsonValue& option = {}
);

fault_list に含まれる故障はすべて network の故障でなければならない.

故障シミュレーターには以下のオプションを指定することができる. オプションは JsonValue の形で指定する.

キーワード

タイプ

説明

デフォルト値

has_x

bool

true の時に3値のシミュレーションを行う.

false

multi_thread

bool

true の時にマルチスレッド実行を行う.

false

さらに TpgNetwork の故障の種類に応じて1時刻分のみを持つ単純な組み合 わせ回路用の故障シミュレーターか1時刻前の値も持つブロードサイド方式 用の故障シミュレーターが自動的に選択される.

故障のスキップマークに関する操作

故障シミュレーターは基本的にコンストラクタで与えられた故障を対象とする. ただし,故障ドロップの動作を行うために内部で故障のスキップマークを 管理している. スキップマークが true の故障はシミュレーションの対象から除外される. 初期状態では全ての故障のスキップマークは false となっている.

スキップマークは以下のメンバ関数で操作される.

// すべての故障にスキップマークをつける.
void
set_skip_all();

// fault にスキップマークをつける.
void
set_skip(
  const TpgFault& fault
);

// fault_list に含まれる故障にスキップマークをつける.
void
set_skip(
  const TpgFaultList& fault_list
);

// すべての故障のスキップマークを消す.
void
clear_skip_all();

// fault のスキップマークを消す.
void
clear_skip(
  const TpgFault& fault
);

// fault_list に含まれる故障のスキップマークを消す.
void
clear_skip(
  const TpgFaultList& fault_list
);

// fault のスキップマークを返す.
bool
get_skip(
  const TpgFault& fault
);

単一故障単一パタンの故障シミュレーションを行う.

入力として TestVector を用いる関数 spsfp()AssignList を用いる関数 spsfp() および xspsfp() が用意されている. AssignList を用いる spsfp() の場合はすべて外部入力ノードに対する割り当て になっていなければならない. xspsfp() の場合は回路内部のノードに対する割り当てでもシミュレーショ ンをおこなうことができる. これらの関数は対象となる故障を指定する. スキップマークの有無は無視される.

故障シミュレーションの結果として故障の検出が行えた場合には 返り値として true が返される. 検出出来ない場合には false が返される. さらに各外部出力ごとの故障伝搬の結果を DiffBits& dbits に格納する.

bool
spsfp(
  const TestVector& tv,
  const TpgFault& fault,
  DiffBits& dbits
);

bool
spsfp(
  const AssignList& assign_list,
  const TpgFault& fault,
  DiffBits& dbits
);

bool
xspsfp(
  const AssignList& assign_list,
  const TpgFault& fault,
  DiffBits& dbits
);

故障並列シミュレーションを行う.

内部に設定されているスキップマークを参考にして 故障並列シミュレーションを行う. とはいっても純粋な並列処理はできないので 故障が検出されるたびにコールバック関数が 呼び出される. コールバック関数の型宣言は以下の通り.

using cbtype1 = std::function<void(const TpgFault& f,
                                   const DiffBits& dbits)>;

f には検出された故障を, dbits には各出力ごとの検出状態が与えられる.

入力パタンとして TestVector を用いる関数 sppfp()AssignList を用いる関数 sppfp() および xsppfp() が用意されている. これらの区別は spsfp() と同様である.

void
sppfp(
  const TestVector& tv,
  cbtype1 callback
);

void
sppfp(
  const AssignList& assign_list,
  cbtype1 callback
);

void
xsppfp(
  const AssignList& assign_list,
  cbtype1 callback
);

パタン並列シミュレーションを行う.

内部に設定されているスキップマークを参考にして パタン並列シミュレーションを行う. とはいっても純粋な並列処理はできないので 故障が検出されるたびにコールバック関数が 呼び出される. コールバック関数の型宣言は以下の通り.

using cbtype2 = std::function<void(const TpgFault& f,
                                   const DiffBitsArray& dbits_array)>;

f には検出された故障が, dbits_array には各出力ごとの検出状態が与えられる. DiffBitsArray は意味的には DiffBits を64個集めたものである. 実際の実装では非ゼロの要素だけを保持している.

void
ppsfp(
  const std::vector<TestVector>& tv_list,
  cbtype2 callback
);

tv_list にはシミュレーションを行うパタンのリストを指定する. tv_list の要素数の最大値は PV_BITLEN (=64) である.